刃の先のそのまた先で



「あっ!!!!!お前ーーーーーーっ!!!!」

「あんたは……。」

リナから、「あたしの父ちゃん」と指差された先の人間を見て、俺は思わず声をあげた。

長い黒髪、端麗な容姿、そして火のついていないくわえタバコ。

ああ、そうか―――。

リナと初めて会った時に感じたあの既視感は、気のせいじゃなかったんだな―――。

ふと頭によぎったのは、かつての自分。
迷いと戸惑いの中、無謀にも光の剣を手放そうとしていた在りし日。

俺は、おせっかいな男に出会い、一つの事を教わった。

そして、そのすぐ後、俺はリナに出会い―――。

光の剣を手放さなかった事、その男に出会えた事を、感謝する事になった。

「……へぇ。お前がリナの相棒ねえ。あの時のにーちゃんがなぁ。人の縁ったぁ不思議なもんだな。」

そう言って、黒髪の男―――もとい、リナの父親である男があの頃と変わらない笑顔で言う。

「……ああ。おかげで、あんたの娘―――リナに、会えた。」

「…そうか。」

リナの父親―――もとい、黒髪の男は、一瞬ふっと笑みを浮かべた。

が、しかし。

がしっ!!!!!!

「のあっ!?」

叫んだのは俺だ。なぜか一瞬の間に腕を首に回されて、ぎりぎり音が鳴るほど締められた。何だ。何なんだ一体?
いくら気を抜いていたとはいえ、今のは尋常な早さじゃなかったぞ!?

「会えたはいいがお前さんよ!俺の娘のリナと二人旅たぁいい度胸じゃねーかっ!!ここで会ったが100年目!一発締めておいてやらぁ!」

「ちょっとま……っ!つかもう締めて…る……っ!」

100年って何だ!

俺はもがきながら、自分が笑っていることに気がついた。

見れば、リナの親父も笑っている。(目が笑ってないような気がしないでもないが。)
そんな俺達の後ろで、リナがきょとんとした顔をしていた。


そして俺はその夜、リナに一つの昔話をした。

話終えた俺に、リナが笑いかける。
俺はいつものようにリナの頭を撫でながら、ずっと伝えたかった言葉を告げた。

――――なあリナ、ずっと俺と旅をしよう―――――。

―――これから一生――――二人で、生きていく旅を―――――。


……これが、俺からリナへの、求婚の言葉になった。



<終>

あとがき


ガウリイの外伝を読んだ後、萌えと勢いでなぐり書きしたお話です。テンションだけで書いているので、ぶつ切り文章が目立ちますが、それだけ気持ちが舞い上がっていたんですよねー…。よく人生で起こる出来事の中に無駄な物は無いだとか、似たような言葉を見かけますが、それは現実の世界でも、物語の世界でも同じかもなーと思いました。作者さんの頭の中では、キャラクター達の人生にも様々な出来事が起こっており、その結果がストーリーとして描き出されているのだと。好きな作品の背景を知るのはとても楽しく、読みかえす時の感慨が違いますよね。
裏話。
スレイヤーズの世界では何歳から結婚可能なのかちょっと調べが及ばなかったんですが、とりあえず小説第一巻ではリナは十四歳だったので、その後の時間経過的にもう十六は越えてるだろう!と仮定してガウリイに求婚させてみました。違ってたらすみません。しかし、リナとガウリイの子って、一体どんな子が生まれるのやら…。膨大な魔力を秘めつつ野生に近い身体能力を持った異次元人のような…。ほぼチートですが、気合いが出たら書いてみたいかもしれません。

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